Since: 09th/Oct./2006
インターネットで公開された文書は、不特定多数から参照されます。参照は、リンクという仕組みで実現されます。
他のサイトへのリンクは自由に作成してかまいません。リンク先の承認を受けることは必要ではありません。逆に、他の人がリンクすることを禁止することもできません。
うっかり、「リンク禁止」、「トップページのみリンク許可」なんてことを書いちゃうと、トラブルのもとです。
リンクは、お友達認定や相互に繋がるというものではなく、他の資源を容易に参照する仕組みです。
ブログであれウェブサイト(ホームページ)であれ、インターネット上の文書は、ハイパーリンクで相互に参照可能です。ハイパーリンクは HTML では a 要素で表現します。
ハイパーリンクの趣旨は、インターネット上の他の資源の所在を一意的に指し示すことにあります。地図上の所番地(住所)を明記することです。ブラウザ/ユーザエージェントは、閲覧者が指し示された文書を容易に取得できるように工夫します。具体的には、「リンク」をクリックすると、指し示された文書を取得して表示します。
例えば、学術論文は他人の過去の業績に立脚するために、他の論文を多数参照します。紙媒体であれば、該当の文書を参照するために、"Phys. Rev. 47, 777-780" のような識別番号を使います。閲覧者は、識別番号から、掲載されている学術誌を特定して、巻数を特定して、ページ数を特定して、図書館で該当の雑誌を紐解き、コピーして持って帰って読むことになります。
一方、インターネットでは、識別番号は URL が一般に使われており、閲覧者は、リンクをクリックすることで、参照先の文書の閲覧/サービスの享受が可能になります。
「リンク」は、インターネットを普及させたキラーコンテンツです。インターネット(TCP/IPで通信可能なネットワーク)上では、他にも、メール、FTP、Dominoなどのアプリケーションが実装されていますが、ブログやウェブサイトで表現される WWW が偉いのは、リンクが容易であることです。
情報コントロールの目的で無断リンク禁止を謳うことには意味はありませんし、トラブルの元です。
かつて、インターネットが普及する黎明期には、個人のホームページで、「無断リンク禁止」を謳うサイトがありました。次の二つの理由が代表的です。
気持ちは分かりますが、リンクというものが、そういうものではないので、残念ながら誤解です。
リンクという仕組みは、参照先の資源を特定するためのものです。不特定多数から参照されることを妨げることはできません。逆に言うと、知らない人に見られたくないものは、インターネット上で公開してはいけません。例えば、次のようなものが挙げられます:
特定の機微な情報(思想、信条、政治的、宗教的、性的嗜好、病歴、犯罪暦など)も、個人を特定可能な情報(住所、氏名、年齢、電話番号など)と関連付けられる場合は、脅威になります。
公開してよい情報と、公開してはいけない情報/公開したくない情報は、個人と場合によります。自分で判断してコントロールする必要があります。
メールアドレスの公開は、スパムメールを呼び込みますので、覚悟して公開するか、公開しないか、スパムが来ても良いアドレスを公開するかの選択が必要です。
女性の場合は、自己の肖像、住所氏名年齢電話番号などの公開によって、不愉快な目に遭う可能性があります。
これらのことを認識した上で、公開する自己情報をコントロールしてください。これらは、インターネットというメディアの特性を理解して使いこなすというメディア・リテラシ、情報をコントロールする情報リテラシという言葉で議論されています。Google などで検索してみてください。
「無断リンク禁止」という言葉を掲げたサイトがありますが、これを主張することに意味はありません。リンクは、インターネット上の所番地を指し示すものであって、禁止や許可の対象ではありませんし、「無断」である方が普通です。
インターネット上のユーザは烏合の衆です。支配的な勢力によって整然と統治されているわけではありません。アクセス制御されていないコンテンツは、不特定多数からのアクセスを許可していることになります。アクセスできるURLがあれば、烏合の衆がリンクすることを禁止することはできません。
リンクの禁止を謳うことはできますが、有効性は全くありません。必要な場合は、パスワードなどを用いた、ユーザ認証の仕組みを実装する必要があります。
個人のサイトで、リンクされたくない旨を明記しているところがあります。そういうところは、作成者の趣旨に沿ってあげた方が、トラブルが少ないでしょう。今後、個人的にお付き合いしたい場合は、特にそうです。
例えば、チュートリアルなんかで、順番に読んでほしい内容の場合は、トップにリンクを張ってほしい旨を表明しているところがあります。
他にも、カウンタがトップページにしかないからとか、トップページに規約等が書いてあるからとか、素材屋さんとかで負荷の観点で直リンクやめてとかの理由が考えられます。
サイトの作成者の立場としては、途中のページからアクセスしてきたユーザをトップページにナビゲートするために、各ページに、パン屑リストによるナビゲーションとか、トップへ戻るリンクとかが必要です。
アダルトや違法性が高いサイトへのリンクも、自己責任を自覚する必要があります。違法性が高いサイトは、どこからリンクされているのかをチェックしている可能性が高く、煩わしいことに巻き込まれる恐れがあります。また、紹介しただけでも、加害者になる可能性があります。
技術に詳しくないが、ウェブをディープに使っているユーザについての補足です。
ウェブの裾野が広がり、技術に詳しくないけど、利用頻度が高いユーザが増えました。昔からそうでもあったわけですが、当時は、ユーザ数が多くなかったので、技術に詳しい人の啓蒙が行き渡りやすかったように思います。
技術に詳しい人がリンクフリーを謳い、そうでない人は無断リンク禁止を謳うという話を聴いたことがあります。
これも誤解だと思います。技術に詳しいかどうかと、リンクの許可/禁止は、全然別の話です。後者は使い方の問題であって、実装方法に依存するものではないからです。ウェブやインターネットの利用者層がどうなっているかという話は、技術ではなくて社会に属します。
ウェブは不特定多数の人々が使っているという事実を認識した上で、自身の情報の公開/非公開を自覚的に行うことが必要です。